インテレクチュアル・プロパティ / 前編

Intellectual Property /1

意外と認識度低い表題、『 知的所有権 』意味する英文表記である、しかしながら一般知識として常備不要の、専門用語なのかも知れない。

だが近年アジア圏の著しい発展と共に、中国や東南アジアやインド等では、発展途上国へ在りがちな無許可コピー罷り通り、意匠が堂々と商用利用され悪質案件も少なからず存在するなど、先進諸国間では問題視されつつあるようだ。

上記アジア各国との比較では、我が国におけるコンプライアンス、概ね良好と云っても良いだろう、しかしながら時折、欧米企業から不本意にも国際法廷へ持ち込まれる、「 故意ではないケース 」少なからず存在する状況、否定は出来ない。

そこで注1/過去職務経緯から知り得た、知的創造性へ対するプロパティマージメント、微妙なニュアンスも在るものの、恐縮ながら『 空間業務 』のフィルター前提条件として、関連する情報を前・後編へ分け多少記載してみよう。


『 知的所有権 』に比べ一般認識度高い『 著作権 』だが、知的財産基本法において、下記表/1の如く知的財産権一部へ属すのである。また、『 知的財産権 』は別名『 知的所有権=無体財産権 』とも呼称し、同意語扱いされているようだ。

そして、『 産業財産権=工業所有権 』は工業的に大量生産を前提としており、特許庁への出願や登録が必要になる。しかしながら、著作権は行政等への届出必要としない旨、先進諸国間でも注/2国際条約締結され一般的である。

著作権定義、著作物から生じる権利で『 思想又は感情を創作的に表現したものとされ、文芸・学術・美術又は音楽等に属するものを云う 』、また権利得る為の手続一切必要なく、著作物制作した時点で自然発生する。(著作権法2条1項1号)

著作物の著作例示として以下項目も挙げられている、『 言語・音楽・美術・舞踏または無言劇・建築・図形・映画・写真・プログラム 』。(著作権法10条1項)



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                            表1


さて、価値在る財産を日夜創造する!?建築及び空間デザイナー達、彼等へ深く関与して来る『 著作権 』、基本法では細分化し下記表2/如く分類した。

知的財産基本法では、『 著作物の公正な利用方法と著作者権利の保護目的は、文化発展を目指す為 』としている。(著作権法第1条)
したがって著作環境を用途別に保護し、新たな創作意欲生じるよう転載や複写全面的に禁止しているのだが、その反面第三者アイデアによる既存成果物を利用した、原案のアップ・グレード促す事が出来ないと云う、人類発展にとって純粋な問題、或る意味弊害も存在するのだ。

そう云った単純だが複雑な?!著作権を、『 人・物・縁 』三種へカテゴライズした上で、保護規定が常備され手厚く管理されている。

『 著作者人格権 』とは、作品公表権や氏名表示権(しない権利も含める)や同一性保持権(改変不可)等、作者持つ意思や志を尊重する権利、そして『 著作隣接権 』は、歌手や俳優業など著作を基にする実演者、或いは音源制作者や媒体事業主等の権利を指す。

とは云え我々が普段使用する語彙は、一般的な意味合いにおいて下記表2/へ記載した、『 著作財産権 』と『 著作隣接権 』を指すケースが殆んどである、しかしながら今編は輪郭明確にする為、中段の『 著作財産権 』意味する事にし、一端であるが知的所有権(著作財産権)の法的環境概略を述べさせて頂いた。


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                            表2


以下は、実務上比較的頻度多く直面するであろう展開を、「 任意の設問形式 」採らさせて頂きつつ、独断ながら想定と共に編集してみた。

1. 著作権の有効期限は在りますか、永遠なのでしょうか?
『 著作者人格権 』は作者逝去と同時失効、しかし『 著作財産権 』保護期間については、原則作者生存時及び死後50年間とされ、共同著作物に関しては最終死者から50年間。正確記すと該当者他界時の翌年1月1日から算定するそうだ、また戦時加算や例外・特例も在るので、失効確認については要注意。

2. 著作権を購入したり販売する事が出来るのでしょうか?
著作権は一般の財産同等にみなされている、したがって自動車・耐久消費財・不動産等と同様に、双方合意のもと売買・相続・貸与・譲渡が出来る、従ってそれら権利を『 著作財産権 』と称する由縁なのだ。

3. 代表者と共同作業で著作物創作しました、著作権者は代表者でしょうか?
一般的な意味において、複数の人々が共同制作した創作物は、その参加者全員へ著作権が付与されている、こうして創作されたモノを『 共同著作物 』と呼称しており、物件毎のプロジェクトや映画製作などがその良い例である。但し、相互に書類(契約書・その他)交わした場合などは、その内容次第。

4. 著作物を業務でコピー使用した場合、どの様な法的措置が執られますか?
個人的違反だった場合、刑法では3年以下の懲役または300万円以下の罰金へ処せられる、加えて民法上で損害賠償請求の対象にもなり、その額はケースにより相違する為、想定は控えたい。
また違反が法人の場合は、刑法では3億円以下の罰金とされている、しかしながら損害賠償請求では、その額天文学的数値になる場合も存在する。

5. 美術学校課題で著作物模写したり、進級制作においてコピー使用した!
教育関連上のコピー使用については、除外項目の一つとして承認されており合法である、無断使用も問われる対象にはならない。
因みに、学校内とは限らず『 教育の一環 』において使用されるコピーは、許認可の必要もなく著作権法違反とはならない。しかしながら、この除外項目を悪用する微妙なケース少なからず在るようなので、注意喚起しておく。



注1/ 過去、多店舗展開の関係部署であったとは云え、ライセンス事業へ深く関わる上場企業にて、国内・外勤務経歴を持つ。

注2/ 万国著作権条約やベルヌ条約 :主張法に「 方式主義と無方式主義 」が存在するが、1989年米国もベルヌ条約へ加盟した事で、先進各国殆んどが無方式主義取り入れた事になり、万国著作権条約は過去のモノとなった。現在は世界の何処かで著作物が誕生すると、何らの手続きなしに著作権が生まれる。

※ 次回後編では、©copyright について記載予定。

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インテレクチュアル・プロパティ / 後編

Intellectual Property /2

他者著作物の無許可『 複製 』、禁じられている旨ご承知だろうが、ソノ関連用語「 コピーライト | Copyright 」とは、如何なる意味か?既に一般用語化しつつ在るものの、意外と知られていないのも事実だ。

しかしながら印刷業界やグラフィックデザイナー、或いは映像制作など業界関係者であれば必須用語になる為、皆目周知の単語(熟語)でもある。

『 Copy(複製や複写)+ Right(権利)』、二つの単語ジョイントしたモノを安易な直訳すれば、「 コピーや複製をする権利 」となるのだが、熟語へ包含された意味表すには、『 著作権 』の方がより適切な表現なのかも知れない。

しかも、必ず©(マルC)列記され、最近では映像や画像へ限らずウェブサイト内にも必ず登場する『©Copyright 』、創造へ携わる方々の大切な権利保護サインなんだが、拙い知識範囲ご容赦願いつつ、緩やかな記述しておきたい。


以前、著作権をグローバル主張する為には、表/3の両方式或いは何れか一方選ぶなど矛盾も在ったようだ、殊更米国が「 方式主義 」採用していた為、欧州各国「 無方式主義 」との間へ軋轢も生じ、統一見解困難極め国際法廷も未解決余儀なくされていたのだ、しかしながら1989年米国も『 ベルヌ条約 』加盟し無方式主義を採り入れた為、世界各国との意思疎通容易となったのである。

現在、著作権に関する国際法『 万国著作権条約 』や『 ベルヌ条約 』は、日本を含め先進各国殆んどが加盟し、条約締結している。

そして、著作権主張の規定法が『©Copyright 』表記なのだ、条約加盟国内においては創作時点で権利発生し、任意の場所へ表示すると確定する、云ってみれば『 私は著作権に無関心では在りませんよ 』程度の注意喚起を促すのである、また万一表記無くても強制的!?保護対象となるのだそうだ。

記載方法については、単語表記順など決められた国際定義が存在する訳ではなく、其々アイテムを任意表示すれば成立するようだ。とは云うものの、下記へ示した順番表示法が比較的数多く観察出来る。

また、「©Copyright 」のコピーライト省略し、「©著作者名 」でも「 2010© 」と表示しても、全く問題はないそうだ、そして最後に『 All Rights Reserved. 』を忘れずに追記し登記完了!

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                             表3

順番 :©Copyright + 著作権者名 + 更新初年( + 最終更新年).
    最終更新年の後に、All Rights Reserved.

例題 :©Copyright KUKAN-KENBUN 2010. All Rights Reserved.
 〃 :© KUKAN-KENBUN 2010. All Rights Reserved.
 〃 :2010© KUKAN-KENBUN. All Rights Reserved.
意味 :この著作権は、2010年に空間見聞さんが全ての権利を保有した。



さて、前編でも述べて来たように、工業的大量生産品(工業所有権)は実用新案や特許権等で設計意匠を出願し登録する。ところが、大量生産品として括れないジャンルも中には存在し、『 建築物やインテリアやランドスケープ 』など、空間設計へ関わる意匠権がソレだ、その現況はどの様になっているのだろうか?

著作権法例示(前編)から、我々が関係する用語は『 建築の著作物・図形の著作物・言語の著作物 』を見出せる。その条項における、建築物や内装空間などの権利、以下二種類へ分類されている。(表4参照)

『 建築(空間)の著作物 』
構築物自体を示すのだが、美術性や創作的側面(芸術性)持ちえなければ著作性認められず、文化的な精神性(思想・感情)表現した意匠のみ対象であり、実用性や機能性重視し規格化された建売住宅や、創造的表現認め難く著作保護不適切と判断された一般建装・内装など、訴訟却下されたケースも在る。

『 図形の著作物 』及び『 言語の著作物 』
設計図書類を示し、一般的には「 図形の著作物&言語の著作物 」混合物と考えられ、学術的性質を有するものとして、設計者(デザイナー)の思想や感情を創作的表現した図書であり、著作権認められている。(著作権法第10条1項5号)


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                              表4


ところで、著作権法における『 複製=コピー』とは、『 印刷・写真・複写・録音・録画等、その他方法も含めオリジナルを有形的再製する事 』なんだが、コピーにおける『 引用と転載 』の微妙な相違についても、述べておく必要在るだろう。

『 引用 』とは、あくまでも創作的クリエイティブの、主体(主文)へ対する補足的使用においてのみ許諾され、無許可であっても合法性認められている。
とは云え、案件毎に微妙なニュアンス少なからず存在する為、確実なのは著作者への打診お勧めしておきたい。また引用時注意として、任意の場所へ著作権者明示(出所)も、怠りなく行なう事!

『 転載 』とは、他著作物を無許可複製で主体使用した上、自作クリエイティブ如きイメージを客観的に与えるモノ、或いは補足的な印象全く認められない違反認知したコピー等であり、著作権法の不正『 複製 』へ充たる、犯罪者として厳重処分対象になる旨、認識するべきである。

そこで、建築(空間)業界は『 複製 』を如何様に判断しているのだろうか?以下は複製・引用・転載へ充たるのだが、数種の例題通じ模擬質疑してみよう。

1.設計図書にしたがって工事を完成させる。
設計図に従って建築(空間)を完成させる行為は、「 図形の著作物 」を有形的再製するものではない為、複製へは充らない。だが、「 建築(空間)の著作物 」複製へ充たる、したがって建築主と設計者で契約書交わし両者合意を得る、その場合は複製であっても「 著作権の譲渡 」となり合法。(比較参照2)

2.既に完成した建造物意匠と全く同一物を、他者が模造し完成させた。
そっくりそのままモノマネした建築(空間)物は、当然ながら「 建築(空間)の著作物 」複製へ充たり、著作権侵害となり違法だが、そっくりではないケースも在り裁定判断、微妙なケースなども存在する。

3.他著作権者の設計図書を複写コピーする、又は同一図作成やトレースする。
設計図そのものを複写コピーしたり、アナログ・デジタル問わず原案書き写した場合、「 図形の著作物 」複製或いは転載と見なされ著作権侵害になる。

4.翻案、オリジナルを基に改作する。
他著作権者の設計図書を多少加筆改作したと云えども、原案同一性が認められた場合、「 図形の著作物 」複製や「 同一性保持権 」を犯す事になる。また、其の改作設計図へ基ずき建造した場合、原案が創作的建造物ならば「 建築(空間)の著作物 」複製したとして、著作権侵害へ充たり双方とも法規違反。

5.完成した建造物を他者が写真撮影し、ソノ写真を発表する。
「 建築(空間)の著作物 」について、写真撮影する行為は複製であるが、引用扱いとされ著作権侵害にはならず合法である。しかし、礼儀として写真撮影及び使用につき、関係者打診も必要だろう。


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実は、『 建築(空間)の著作物 』に関する著作権侵害裁判、余り多くはないようである、とは云いいつつも裁定下されれば、設計料相当額の損害賠償請求や、工事差止め請求などの訴訟対象になる。

著作権者が高い関心持つケースと云うのは、出版物や作曲等で印税収入が見込める著作案件の場合であって、多くが単一生産である建築(空間)業界、設計者達も訴訟へ対し余り懸命ではなく、積極的興味持たない方々少なくない。

その理由は、建築(空間)における複製立証し証明するまで、望外にも難儀する状況も想定され、訴訟における時間消費(浪費)考慮すれば、仕掛けないメリットの方を優先するからではないだろうか。

しかしながら、極めて悪質な無許可『 転載や複製 』で模倣された場合などは、設計者(デザイナー)魂と誇りに掛けて、訴訟へ踏み切る方も在るだろう、そして違法行為と見なされれば、刑法及び民法ダブルでの処罰課す事可能なのだ。
老婆心ながら、年々昂騰する損害賠償請求額へ鑑み、『 複製・転載・引用 』ご理解された上活用される旨、御用心促しておきたい!?

最後に、建築及び空間設計へ携わる方々が、自ら著作物の画像提供機会得た場面では、是非©Copyright 御付け下さる旨推奨し、『 インテレクチュアル・プロパティ / 前・後編 』のエピローグとさせて頂く。


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風車は向日葵モドキな風見鶏

Sunflower ! ・・・?





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                頭垂るる残夏 | 20100815









 


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             向日葵モドキな風見鶏 | 20100815









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龍ノ口から江の島巡り / ポタリング

To the ENOSHIMA from Dragon mouth | Pottering 20100825

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江の島竜伝説『 天女と五頭竜 』は、江島縁起(注/1)によるもので天女が竜を諭している絵馬があり、以下説話が現在まで語り継がれている。

昔々、鎌倉の深沢辺りに大きな湖沼が在り、主に暴れ者の五頭竜が棲みつき村人達を苦しめていた。村民はこの悪竜を鎮めようと努力したが、乱暴は益々酷くなるばかりで、隠れるような生活を強いられていた。

ある時(西暦552年)激しい天変地異が沸き起こり、俄かに暗雲垂れ込め海上へ火柱が昇ると、天空から観眼麗しい天女が童女と共に現われ、海岸では突然小さな島が隆起した、すると天女達はその小島へ降臨したのである。

この様子湖畔から観ていた竜は、天女へ心奪われ結婚を申し入れたところ、島の岩窟奥へ姿を隠してしまい、以降再三訪れ求婚するものの現われない。だが或る時天女曰く、「 今後改心するならば結婚を受け入れる 」と、やがて悪竜も心を入れ替える旨約束し、二人は結ばれ長くこの地域を守護したのだそうだ。

その後、長年守護で身を切刻み寿命迎えつつある老竜は、小島守りを天女へ託し対岸の山へ帰って行った。それから暫らくすると、村人達は其の山を竜口山称するようになったそうだ、現在の片瀬山周辺である。

また天女は、弁才天(歌舞音曲・水の守護神)として太平洋側の岩屋洞窟へ祀られており、島内には源頼朝が寄進した鳥居や、歌川広重の東海道五十三次へ参詣風景描かれるなど、歴史的「 名所旧跡 」数多く点在している為、古くから参詣者だけではなく、信仰とは別に観光客や地元民からも広く親しまれている。

そして、五頭竜祀った鎌倉竜口明神社から、60年に一度の祭礼時には神輿へ木彫り五頭竜を載せ、江の島弁才天の天女に会わせる為、竜神様は若衆達肩へ担がれ束の間逢引をするそうだ。


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          A/ 境川へ架かる片瀬橋から江の島展望灯台を望む
          B/ 島内ヨットハーバー&デッキウォーク灯台
          1/ 小田急線「 片瀬江の島 」竜宮?駅舎
          2/ 弁天橋へ鎮座する「 阿吽の双龍 」
          3/ 参道・奉安殿へ続く仲見世通り
          4/ 民宿街
          5/ 料亭街
          6/ 物産街路地より青銅の鳥居を望む


注1/ 縁起 :故事来歴を云い、特に神社仏閣の沿革や由来、或いはそれを記した文書、またそれらに表現されている功徳・利益等、伝承・伝説も此れに充たる。

21:49 : ポタリング:自転車トラックバック(0)  コメント(1)