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透視図法 + 鉛筆デッサン

Perspective + Pencil drawings.

建設業や内装業界の業務用語で『パース』と称される描画法が在るが、此れは簡略用語のため正規呼称は『パースペクティヴ|Perspective』で、建築工事や内装施工の完成予想図を遠近法の透視図を用いて描く着彩図の事である。尚、透視図法を用いないで描く完成予想図の英語直訳は、『レンダリング|Rendering』だ。

パース作画方法は、設計図書内指定された寸法・形態・素材・色彩などを読み取り理解した上で、一点透視或いは二点透視の図法を活用しリアリティ在る二次元立体図を表現するのであるが、単純にソレだけではなく作業前重要事項としてベストアングル(構図)を決定後、季節植栽や街並みや天象状況或いは通行衆人や業種商品などの背景レタッチを考慮に入れ、雰囲気や臨場感を加えつつ仕上げる画家感性(絵心)も少なからず必要な完成予想図なのだ、そして現在ではC.G(コンピューター・グラフィックス)を用いて描く事も多用されている。

そして、其の描画法を専門職種として特化させ事業化行なっている人々が業界内には存在して居り、彼等を『パーサー』或いは敬意と親近感を込めて『パース屋さん』称し、空間デザインのプレゼンテーションには欠かす事出来ないクリエイター達でもある。

さて、内装業界へ長期間携わると多種多様な業務体験をするのであるが、或る時の事若年期より知己在る同業種の先輩デザイナーから電話連絡が在り、海外(アジア)プロジェクトのデザイン企画へ参加しないか?との打診をされたのだが、当方の請負い他業務については丁度一段落しており都合よい為、海外プロジェクト参加可否については快く承諾し請け負ったのであった。

此のプロジェクト発注側でもある現地のゼネコン系不動産会社において、分譲物件のマーケティング思惑は可処分所得高額層(セレブ)のコンドミニウムをイメージしつつ、集合住宅の販売戦略につき建物クォリティ向上を目的としており、現地のドメスティック・デザイナーでは其の感性は得られないと判断した為であろうか?外人デザイナーとして日本人へ業務委託をしたのかも知れない。

提案内容については数棟在る三層階分譲住宅の建築デザイン策定計画で、市場分析及び企画コンセプト立案、そしてCAD立面図&建築外観C.Gパースと云う、全てP.C作業でのプレゼンテーションが予定されていた。
ところが、作図提案図面の全てをデジタル表現で行なうプレゼン時の堅く冷たそうなビジュアル雰囲気が想定された為なのであろうか?プロジェクトのディレクターである当方先輩は一抹の疑念を感じたのかも知れない?したがって多少趣向を凝らした印象的なイメージ内容を加味したい旨、プロジェクトチームへ示唆されたのだ。

そこで白羽乃矢を立てられたのが当方であり、『鉛筆デッサン風味の完成予想図パース屋さん!』としての御指名を頂いたのであるが、抜擢!なのか貧乏クジ?なのかは別にして何事も経験と思いつつ、本意ではないながら描き上げた鉛筆スケッチが下記へ掲載した『建物外観+外構工事+景観』画像なのであるが、当方若年期からのデッサン能力を知悉するデザイナー仲間がプロジェクトチーム内に居た為に、余計なお節介(推挙)?をしたのであろう事推察できる。

冒頭説明如く、素描前に仕上がりイメージのチェックをシュミレートすると、心地好い微風そよ吹く天気晴朗、亜熱帯だが低湿度の初夏空雲、植栽イメージは南国調を醸し出す多湿地域特有の中低木を意識しつつ、少なからず我が国とは景観異にする作画となるだろうと予測、またスケッチ内登場する方々はセレブな注1/DEWKs|デュークス。

勿論、当初予定されていたC.Gパースがメインの提出用完成予想図であり、此の鉛筆画によるスケッチパースはあくまでも堅い印象を多少和らげる為に補足的な資料としてプレゼンに含めたのである。しかし其の後の事であるが、此のスケッチ画は分譲住宅販促用の印刷物やセールスキットなどにも活用されたようだ。

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注1/ デュークス|Double Employed With Kids:左記英文イニシャルで子供の居る共稼ぎ夫婦の事、共に仕事を持ち生活を楽しみつつ育児も両立出来ると考える為、夫が家事や育児に積極参加し育児休業・保育所等の制度・施設を巧みに利用する御夫婦の事であり、DINKs(子供の居ない共稼ぎ夫婦)に対する用語として使われる。

19:05 : 絵画など:  トラックバック(-)  コメント(0)