デッサン・ド・ムジィーク / 横浜の冷酷なダン三世

Dessin de musique | S.Dan Ⅲ from Yokohama.

不可解で意表突くような今件タイトルなんだが、此のバンドの個性的な音楽性やユニークな存在感とも相通じる印象匂わせるかも知れない、実は米国文学の或る作品内原文を、意図的ニュアンス加え直訳したものだ。
其の作品が、注1/ウィリアム・S・バロウズ氏代表作「 裸のランチ|Naked lunch 」、小説内商品`Steely Dan Ⅲ from Yokohama`は、オフィシャル場面に於いて少なからず憚るセクシャル・ツール、男性器張型の日本製商品名として登場する。


既にお判りだろう、著名グループ名に由来する冒頭だった。ジャンル不明確なんだが根強いファンを持ち、架空商品より命名された『 スティーリー・ダン 』は、1972年デビュー当初バンド形式採用していたものの、'74年頃から現在までウォルター・ベッカー&ドナルド・フェイゲン両氏の`Two men unit`とも云えるグループ。

音楽性簡略に述べれば、1950年代~60年代へ掛けてのジャズやR&B、ロックやポップス、或いはラテン等を基調としながらも、曲者達!はそれらを分解し緻密且つ偏執的な融合と再構築を企てる、其の為奇怪なコード進行となる楽曲を、注2/代理コードにアジャストしつつ作・編曲行い、また歌詞へは比喩や暗喩表現で辛辣なアイロニィや知的ユーモア加える等、作・編曲者として或いは作詞家としても絶妙なサジ加減をする。

アルバム制作前、各楽器の候補者達(複数)へ課題譜面渡し、その後プレゼンされたデモテープ聴き(利き)比べつつ担当厳選してゆくのだが、彼等の感性(フィーリングやアンサンブル等)へ合致しなければネーム・バリューなどは固執せず、事も無げにキャンセルする贅沢さ!?却下憂き目味わう著名ミュージシャンは数知れず・・・・・・・。

後のスタジオワークにおいて、手練れ演奏家登用する高質セッションから特異な響きを創出し、云えば水墨画へ彩り添えるが如き「 映え 」が点睛され、玄人筋聴取者や音楽関係者等へ、記憶するに充分な色褪せない印象で虜(私含)にしてしまうのだ。

しかしながら、此の様な方法論が当初から可能だった訳ではなく、本領発揮は熟成期経た上で、彼等の想い描くフォーカル・ポイントへ、妥協許さない表現を縦横に駆使出来る様なってからであった。

其の様に創作された中でも、ミリオンセラーと共にグラミー最優秀録音賞の『 Aja|彩 』や、受賞後プレッシャー受けつつ高い評価獲得した『 ガウチョ 』といったアルバムは、今更云うまでもない名盤中の名盤、当方がお薦めするまでもないだろう。
「 退廃と洗練 」融合させつつ、クール且つシニカルに描かれた米国社会への仮想現実観と、現在でも充分通用する多少毒気在るメッセージを含んでいる。


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             Aja'77                 Gaucho'80

ところが、彼等サウンドへ馴染めない聴取者も居り、思い充たる節が無くはない。理由推察すれば、D.フェイゲン氏歌唱の退廃的で個性的な節回しや独特な抑揚、そしてバロウズ氏影響なのだろうか?奇妙に超編集される難解小説的歌詞、またサウンド面では凝りに凝った妥協のないクールで洗練されたアンサンブルや、テクニカル面強調し美妙且つセンシィティヴな音感など、ジャンル曖昧且つ今一つ盛り上がりへ欠けるサウンドが好まれない旨、理解出来る。

そして両者共に作曲者と云う肩書きからもお判りの様に、フェイゲン氏はもとより歌手志望ではなく、オーディション通じ要望叶うシンガーへ巡り会えない為、止むを得ず自唱した結果意外にも功を奏した、と云う実情があるのだ。御二方共本質的にはツアー志向しない故、バンド活動短命だった旨自明の理だったのかも知れない。

とは云え、'60~'70年代のロックやジャズやボサノバ隆盛期に、同時代性持ちつつ思春期過して来た私にとっては、ユリカゴ的心地好さへ浸れるような「 懐かしい斬新さ 」感じさせ、精神的に弛緩誘引する「 音匂 」持つ事、お伝えしておきたい。

さて下記素描ドローイングについてだが、実態として捉え難い彼等の演奏者イメージ、想起プロセスが思いの外難儀しつつ試行錯誤の上、冒頭小説をモチーフに超・編集ではないものの、当方脳内錯綜する断片的な任意連鎖イメージを再構築し、印象的散布構図とでも申し上げたら良いのだろうか?、『 横浜の冷酷なダン三世 』描いてみた。



    Steely_dan from yokohama-001
              `STEELY DAN Ⅲ from Yokohama`

STEELY DAN.
1967年ニューヨーク州バート・カレッジ、二人の運命的出遇いから始まる。当初、両者ソングライターで活動していたのだが、バンド方向性見出しオーディション開催、ところが該当歌手見当たらず不本意ながらフェイゲン氏歌う事に。其の後、ABCレコードのプロデューサー、ゲイリー・カッツ氏|Gary Katz と意気投合し、`Gaucho`まで創作活動を共にする。
また`Aja`表紙には、当時パリコレ・マヌカンとしてピエール・カルダン氏お気に入りの山口小夜子氏が起用され、撮影は著名カメラマン藤井秀樹氏。

本名 :ドナルド・フェイゲン|Donald Jay Fagen(1948年ニュージャージィ出身)
本名 :ウォルター・ベッカー|Walter Carl Becker(1950年ニューヨーク出身)



注1/ William S. Burroughs. 米国人作家、名門ハーバード大学出身とは云え両性愛者、且つ麻薬やアルコール中毒でも在った。卒業後は世界各地転々とするが、'53年異種混合文化で混沌とするモロッコのタンジールへ移住、'59年詩人アレン・ギンズバーグ氏などの助力もあり、冒頭作品を出版。
だが、当時としては猥褻且つグロテスクな内容から、米国政府より発禁処分受ける。また此の超!編集小説は、デヴィッド・クローネンバーグ氏|David Cronenberg. 監督指揮の下'91年映画化された。

注2/ 或るコードを、他のコードに置き換え使用する事。別称裏コードとも呼ばれ、メロディに対する進行感を、斬新さと共に意外性感じさせる音韻(ハーモニィ)がある。
音楽理論的な詳細省き基本例挙げれば、C=Em,Am|F=Am,Dm|G=Bm,Em, マイナーでは Dm=F,Bm|Em=G,C|Am=C,F 等。


18:47 : デッサン・ド・ムジィーク:  トラックバック(-)  コメント(4)
スティーリー・ダンは、メンバーが次々と、ドゥービーに引き抜かれただの、
セッションミュージシャンで固めている、カールトンのソロがすごく良いとか、
雑誌の記事で、話題だけを知っていて、音を聴いたのは、だいぶ後でした。

思ったほど難解ではなく、無機的、機械的な感じもしませんでしたが、
すごくクールな音作りだったり、変わったコードを使っている印象でした。

2013/06/11(火) 20:29:33 | ギターマジシャン │ URL | [編集]

ギターマジシャンさん今晩は、コメント有難うございます。

偏執的音創りをする割には耳障りでないサウンドが此のグループ真骨頂なので、確かに音源からは難解さ微塵も感じないでしょうね。

また結成時メンバーだったJ.バクスター氏や、その後参加したM.マクドナルド氏やTOTOのJ.ポーカロ氏など、出入り頻度多いバンドでしたよね。それと、丁度此の時期はスタジオ・ミュージシャン全盛期で、クロスオーヴァとかフュージョン或いはAOR等々カテゴライズされ、有能なミュージシャン達が縦横に活躍出来る環境だった為か?多くのセッション・バンドが輩出されていた様に思います。お馴染の`335`抱えた未だロン毛!?だった人も参加してましたね。(右下参照)

2013/06/12(水) 18:27:22 | take10n │ URL | [編集]

take10nさん、おはようございます。

さっそく古いLP盤を引っ張り出して聴いています。引越してから初めてレコードに針を落としましたよ、改めてミュージシャンを確認してみると凄く贅沢、豪華な面々で驚いています。

Randy Brecker, Tom Scott, Steve Gadd, Michael Brecker, Larry Carlton, バックグラウンドのコーラスに Patti Austin まで!

このサウンドはいつ聴いても本当にあきないですね。

2013/06/12(水) 22:14:39 | まん丸クミ │ URL | [編集]

まん丸クミさん今晩は、否!お早よう・・・・どっちかな?

当代随一のジャズ・フュージョン系売れっ子ミュージシャンを多数起用する音創り、手練れ者達をよくぞ集めましたよね、数え上げたら星の数程・・・・・っな訳ないか!
普通に考えれば、船頭多過で舵取り難儀するのではないか?無事コントロール出来た結果事態、日常的ではなく不可思議に思う次第。
推量域外れないのだが、彼等はエゴイスティックで強靭(偏執的)な精神性持ち主だったのでしょう、また制作費用は間に合ったのかどうか?など老婆心と共に要らぬ心配までしてしまう、嬉しくもある迷惑なミュージシャンです?

PS/尚、致し方無いのですが最近の当方業務関係上、以前にもましてリコメント・レスポンス悪化しています旨、ご了承お願い致します。m(_ _)m

2013/06/14(金) 00:01:28 | take10n │ URL | [編集]

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